えくりけいじばん ver2.0

~エクリ殺人事件~松下紳之助編 第1話 第2話 - 管理人96(代理投稿)

2015/01/25 (Sun) 17:16:35

~エクリ殺人事件~


はじまりのはじまり


ある寒い冬の日、郊外の屋敷でこの屋敷の主人の誕生パーティーが
開かれようとしていた。

この主人こそ様々な業界の裏の権力者と噂されている松下紳之助である。

松下紳之助は脱サラ後に秋葉原に「しゅりみや」という小さな料理店から始まり
メイド喫茶「@ドリーミンヴァニア学園 おたんこなす部ライオン農場」を全国展開、
その後当時のUDXの最上階にECR劇場というステージを設立して芸能界にまで
大きな影響を与える程の人物であった。


そんな松下紳之助の誕生パーティーでありながら、出席者は屋敷内の者や
極親しい知人など20名にも満たない小規模なものだった。

その出席者が1人また1人と屋敷を訪れるたびにこの屋敷のメイドであるばっさ、
るっち、れなし、主人の専属ドライバーはづづが入り口からメインホールへと案内していた。

メインホールでは紳之助の現在の妻、愛々氏が和服姿で、娘のちゃまは紫色のドレス、
そして秘書のいずみんがスーツ姿で、紳之助と共に訪問客を迎えていた。

紳之助「ゆーきは何処だ」
ちゃま「部屋に籠っているみたいです」
紳之助「全く仕方のない奴だ…」
小声で言った。ゆーきも紳之助の娘でちゃまの姉である。


黒のドレス姿の訪問客が現れた時に数人の顔色が曇った。
愛々氏「さ、さぁやさん…」
ちゃま「あの人誰?」

近くにいた紳之助の関係する芸能事務所のモデルのりょうがあえて小声でなく
皆に聞こえるように言った。
りょうつ「ちゃまさん知らないんだ。所謂愛人・・・?」

さぁや「あら愛々氏、お久しぶりね」
さぁやはりょうつの言葉に全く動じず愛々氏に挨拶をした。

りょうつと同じ芸能事務所のアイドル声優りんちゃんが秘書のいずみんに駆け寄った。

りん「どうしてさぁやさんを呼んだの?」

いずみん「ご主人様の招待リストに書いてあったんです。リストに書いてあったんですっ!」
いずみんは大事な事なので2回言った。

紳之助「まあまあ、私が呼んだんだ」
その一連の話が終わるのを待っていたかのようにさぁやの後ろから鮮やかなグリーンの
ドレスに身を包んだ女性が部屋に入って来た。

あき「オイラも呼ばれたから来たよ」
あきは紳之助の前妻であった。


厨房から、この屋敷の料理長のねこすが現れ、その微妙な空気には全く無反応に言った。
ねこす「ご主人様、料理は準備出来ています。」
ねこすは紳之助の関係する飲食店の統括をしているが普段は屋敷に住み込みをしている。
実際にはねこすだけでなく黒三という調理助手と2人で屋敷の料理は振舞われていた。


次にある資産家の令嬢まどかっちが部屋に案内されてきた。
まどか「少し遅れてしまったかしら?」
かえ「まどかちゃん、全然間に合ってるよ」
アイドルバンドでボーカルをしているかえちゃんが笑いのツボにハマったようで肩を震わせ
笑いを堪えてる。
他の皆はそんなに面白いのだろうかという不思議な顔をしていた。


最後にゆーきの同級生であるみこすが少し遠慮がちに入って来た。
りん「みこすも呼ばれてたんだ」
みこす「招待状が来たから一応来たけど、あたしこんなとこ来ちゃって良いのかな?
おまけに今日思いっきりメイドのコスプレなんだけど…」

低めの声でそう言い、りんちゃんの陰に隠れながらホールの様子を伺っていたが
その声を聞いて屋敷の二階から青いウイッグを被ったゆーきが飛んで来た。

ゆーき「みこちゃーん、来てくれたのっ!うれしいー」
みこすにゆーきが飛びついて喜んだ。勢いで少し崩れた前髪を指で揃えながら、

みこす「てか、らまんちゃん。家でも普段からそういう格好してんの?」
ゆーきがウィグの髪の毛を両手で束ねる動作を2度繰り返しながら笑った。

ゆーき「テヘペロ。だってさぁー、みこちゃんが来るって聞いてたから〜」


紳之助「これで全員揃ったかな。じゃあ乾杯しよう。皆飲み物はあるかな。ねこす、
さぁやさんの烏龍茶がまだ来てないようだ。
それからゆーきは赤霧島でいいのか?みこさんにも飲み物を聞いて」

ねこす「只今お持ちします。」
紳之助「あ、それからいずみんも今日はもう仕事は終りだ。好きな物を飲んだらいい」

いずみん「それじゃあビールが飲みたいです!」
満面の笑みで言った。


To be continued・・・

Re: ~エクリ殺人事件~松下紳之助編 - 管理人96(代理投稿)

2015/01/25 (Sun) 19:30:59

ー事件の香りー



「カンパーイ!」
皆、様々な飲み物を手に祝杯をあげた。
「お誕生日おめでとうございます。」
来賓者が代わる代わる屋敷の主人でパーティーの主役である紳之助に声を掛けてくる。
最後に娘のちゃまが不思議そうに主人に聞いた。
ちゃま「今年は来賓の方の顔ぶれが例年と違う感じがしますけど、何かあるの?」
紳之助「大した事ではないよ、少し趣向を変えてみただけだよ」


パーティーにも関わらずビールをジョッキで飲み干す紳之助だが、ビールサーバーから注ぎたての冷えたビールをばっさが次々と運んで来る。
さらに様々な料理が厨房から運ばれてきてテーブルの上が華やかになってきた。
るっちがローストビーフを薄く切り分けてお皿に盛り付けている横をすり抜けて、れなしがお皿に生の魚を運んで来て紳之助に聞く。
れなし「料理長のねこすさんから、本日はのどくろを仕入れる事が出来たのでどの様に調理するのかお伺いしたいと申しております」
かえ「何?のどくろって?のどくろ飴?」
超人気売れっ子アイドルらしい天然発言に笑いが起こった。
それまで何となく余り盛り上がっているとは言えない雰囲気が一瞬にして和んだ様だった。
紳之助「そうだね。折角だから煮付けかな」
ゆーき「パーティーなのに、煮付けって何か和風な気がするけど?」
紳之助「そういうお前は一杯目から焼酎じゃないか」
また笑いが起こった。
気のせいかそれまでゆーきと楽しそうに喋っていたみこすだけが口元は笑っていても愛らしいまん丸の目が笑ってはいないようにみえる。


紳之助「いずみん、私の書斎のテーブルの上にワインが置いてあった筈だが、すまないけど持ってきてくれないか」
いずみんは賢くとても優秀な秘書で更にビールを飲むペースは無類のビール好きの紳之助と互角という噂がたっていた。既にアルコールで上機嫌な様子で、敬礼するポーズを取って
いずみん「了解であります!」
と書斎にワインボトルを取りに行った。


いずみんがワインボトルを手に戻って来ると、直ぐにれなしがワインオープナーを使って素早くコルクを抜いた。
ゆーき「何の記念ワイン?」
紳之助「まったく、さっきから何を言っているのかな?今日は私の誕生日じゃないか。」
はははと笑い飛ばす。しかし愛々氏はボトルのワインの年号をみて密かに息を飲んだ。そしてさぁやは窓の外を眺めながら一気に烏龍茶を飲み干した。


紳之助「もう一通り料理も出揃っただろう。れなし、調理場も君達も好きに食べて飲んだら良い。今日は車も出さないからはづづもホールに来るよう言ってくれないか」


屋敷のほぼ全員がホールに集まった。それでも20人には満たない程度。
紳之助「ちょっとトイレ行ってきます」
もはや大屋敷の主人というよりもサラリーマンの飲み会の様なノリでホールを出て行った。


暫くして愛々氏がちゃまに声を掛けた。
愛々氏「まだ戻って来ていない?ちょっと見てきて。」
ちゃま「ゆーき姉ちゃんじゃないんだから、ログオフとかしないでしょ。何か心配してるの?」
笑いながらホールから出て行った。
続いて若い女性の悲鳴。それは正に今ホールを出て行ったちゃまの声。


ホールにいたほぼ全員が廊下に出た。廊下の突き当たりの先に座り込んで両手で顔を覆っているちゃまが見えた。
ホールの出口で立ちすくむ者とちゃまに駆け寄る者が居たが、ちゃまに駆け寄っていった人は突き当たりの曲がり角のその先を見て唖然とした。その中で愛々氏がやはり悲鳴をあげてその場に崩れ落ちた。
それを見て今度はホール前に立ちすくんで居た全員が曲がり角に駆け寄り、その景色を見る事になった。


曲がり角の先は、一番奥に物置きとなっている部屋のドアがあるだけ。しかし問題はその途中の廊下に人が倒れていた事だ。明らかに紳之助と分かる。両手で自分の首を絞めるような格好で仰向けに倒れており、見開いた目が天井を見つめていた。


全員が狼狽えた。これは自然死?それとも…
最初に口を開いたのは令嬢まどかだった。
まどか「ちょっと何してるの救急車!」
中々冷静だが更に冷静にはづづが言った。
はづづ「ちょっとまって」
紳之助に近づき首元や手首に触れて小さな声で。
はづづ「死んでる…」
再び幾つかの小さな悲鳴が起こった。
まどか「救急車と警察。早く電話しなくちゃ。」
しかし意外な反応が返ってきた。
あき「待って…救急車や警察を呼ぶ前に皆で話しましょう。」
まどか「この状況で救急車や警察を呼ぶ前に話さなければならない事ってなんですか!」
更に意外にも警察を呼ぶ事に消極的なのはあきだけでは無かったようだ。異様な空気が廊下を包む。
暫くの沈黙の後、はづづがもう一度紳之助の息の確認をして首を横に振った。
ばっさが奥の倉庫から出してきたシーツを紳之助の遺体にそっと掛け、誰も言葉を発することなく全員がホールへ移動する。


何が起こったのか理解出来ないのか皆が誰かが何かを言うことを待っていた。
最初に小さな声で言葉を発したのはははづづだった。
はづづ「アーモンドの香り…」


To be continued・・・

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